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「では、改めて私も自己紹介をします。私は渡辺陽介と言います。太陽の陽に介助の介で、陽介です。明るくみなさんを介助していきますので、25メートル泳ぐことを目標に頑張りましょうね。」 きっと定型文であるのだろう自己紹介を、くしゃっとした笑顔のままする。陽介先生の話し方は、体育会系らしくなく、穏やかで温かな話し方だ。確かに、初心者コースに向いていると思う。 「ではまず、ゆっくりと歩いて体をあたためましょう。」 ぞろぞろとみんなが歩き出す。私も前の人について歩き出すと陽介先生が隣に来た。隣に立つと、思ったより背が高い。私とは頭ひとつ分位違う。 「祥子ちゃんはビート板使わないでどれくらい泳げるかな。」 祥子ちゃん、と呼ばれたことに驚いた。親しげな響きにどきどきする。それとも、子供扱いされてるのかな。物言いが優しいのも、私が子供だからなんだろうか。これが陽介先生の話し方なんだろうか。そうだといいな、と思いながら答えた。 「あんまり……」 「けのびはできるかな。」 その質問には頷く。私は息継ぎが苦手で、息を吸おうとするとなぜか沈んで水をのんでしまう。そう説明すると、陽介先生はまたくしゃっと笑った。 「じゃあ、とりあえずビート板なしで泳いでみようね。」
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