プロローグ

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「でもさ、あのままだとランスはともかく、僕は絶対死んでたよ? それはランスも困るでしょ?」   「うっ、それを言われると……」  ロウレニスの言った困り事というのは、契約鬼に起こる最悪の問題である。  契約鬼は、身体を契約主に合うよう『調整』する。  しかし、それは諸刃の剣だ。  契約主の死亡、これが起こってしまえば契約鬼は身体に合う血が無くなってしまう。  そのとき、彼等は身体を長い時間をかけ『リセット』する。  寿命を全うして死亡した場合は、『リセット』の期間は死亡前に充分ある。  だが、事故などの急死の場合、『リセット』の期間がない。  契約鬼は、契約主以外の血は飲めないよう改造されている、すなわち食事が摂れないということ。  摂れなければ、腹が減る。  これを『飢餓』状態。  飢餓状態になった契約鬼は、血を求めて暴走する。  それが何を意味するのか。  先程、しないといった『無差別に人を襲う』、つまり『虐殺』を始めることを意味する。  養分の取れない血ばかりを飲み、飢えが激しくなりさらに人を襲う、完璧なる悪循環。  それが契約のシステムの最大のデメリット。
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