プロローグ

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 主従の関係にあるのだが、それはまさに逆。  ランステッドは全く主人の命令に従わないし、発言力すら彼女の方が上なのである。   「ま、結果的に生きてるんだから万事OK」    笑いながら親指を立て、臣下は言う。  主人はただただ苦笑するのみ。  ロウレニスにとって、彼女の楽観思考は呆れはすれど、嫌いにはなれない。  気弱な自分と重ね、憧れを抱いているのだろうか。   「よしっ、そうと決まれば早く帰ろうよロウ」   「そうだね、この子も早く帰りたいだろうし」    手のゲージに入っている猫を指差し、ロウレニスは言う。   「ロウ……家出するような猫が、家に帰りたいと思う?」   「…………確かに」    ロウレニスの仕事は、家出のペットが多い。  ということは、嫌がるペット達を、無理矢理連れて戻しているようなものだ。  そう考えると、少し気が重くなった気がした。   「ま、いっか、ボク達の生活のために捕まってね♪」   「……なんだかなぁ」    二人は、林の外に停めてあったバイクに跨り、闇を裂くように、夜の道路を走り抜けた。
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