723人が本棚に入れています
本棚に追加
主従の関係にあるのだが、それはまさに逆。
ランステッドは全く主人の命令に従わないし、発言力すら彼女の方が上なのである。
「ま、結果的に生きてるんだから万事OK」
笑いながら親指を立て、臣下は言う。
主人はただただ苦笑するのみ。
ロウレニスにとって、彼女の楽観思考は呆れはすれど、嫌いにはなれない。
気弱な自分と重ね、憧れを抱いているのだろうか。
「よしっ、そうと決まれば早く帰ろうよロウ」
「そうだね、この子も早く帰りたいだろうし」
手のゲージに入っている猫を指差し、ロウレニスは言う。
「ロウ……家出するような猫が、家に帰りたいと思う?」
「…………確かに」
ロウレニスの仕事は、家出のペットが多い。
ということは、嫌がるペット達を、無理矢理連れて戻しているようなものだ。
そう考えると、少し気が重くなった気がした。
「ま、いっか、ボク達の生活のために捕まってね♪」
「……なんだかなぁ」
二人は、林の外に停めてあったバイクに跨り、闇を裂くように、夜の道路を走り抜けた。
最初のコメントを投稿しよう!