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「むにゃ~」
だらけきった寝言を呟きながら、ロウレニスは爆睡していた。
昨日の化け物に追われた疲れが抜け切ってないようだ。
「や、やめて下さいよサオリさん、ウチの家計も辛いんですから、お米盗らないで~」
突然うなされるロウレニス。
サオリというのは、同じビルに部屋を借りている女性である。
度々ロウレニス探偵事務所に足を運んでは、茶菓子を貪って帰っていく。
酷いときは、夕飯を食べにわざわざ来たりする。
しかも美人というのだから、余計性質が悪かった。
サオリという人物を一言で言い表すと、『困った隣人』である。(ロウレニス談)
まぁロウレニス自身あまり嫌な気分にはならないので、苦笑しながら夕飯をご馳走するわけだが。
しかし、ただでさえ現実でランステッドに苦労しているのに、サオリが夢にまで出て来て、苦労をしている。
ロウレニスという青年は相当の苦労人のようである。
「あっ、醤油もですか!? ダメですよ、あぁ~塩まで」
とてつもない寝言だが、これは彼の苦労と、サオリと言う人物がよくわかる構図だろう。
「あぁ、やめてよランス、叩かな……噛みつかないでぇ」
どうやらランステッドまで出てきたようだ……こうなっては救いようがない。
と、そこへ当のランステッドが悠々と部屋へと侵入してきた。
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