間違える

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不幸って どうして重なるんだろう…… 仕事のミス、彼氏の浮気、買ったばかりの服が破れてる…どうでもいい小さな悪い事まで引き寄せているみたいだ。 『こんな時は、自然に触れて癒されたい!青くて広い海を見れば元気になる!』 そんな思いを抱いて 私、片岡 詩子【カタオカ ウタコ】は 海にやって来たのだが…… 「何これ…さっむっ!」 今の季節は、冬。 癒し所か、傷口に塩を塗り込むように暗く深い海が広がっていて更にえぐられた感じだ。 完全に季節と場所を 間違えてしまっている。 「おまけに天気も曇りで…全ての色がグレーだわ…癒す所か…堪えるわ」 がっくりと肩を落とし、自分の馬鹿さ加減に呆れつつ海を眺めていた。 そんな状況でも、静かに寄せて返す波の音を聞いているうちに落ち着いてきた。 少し元気になった私は調子に乗って波打ち際まで行ってみた。 もっと近くで波の音を聞きたいと思ったからだ。寒くてグレーな景色だけど、やっぱり海は私を癒してくれている。 心の中で海に『ありがとう』とお礼を言って眺めていた時だった。 ザッザッザッザッ…… 何かが近づいて来る。 「死んじゃダメだーぁっ!」 「えっ?」 次の瞬間、ザッパーン…と漫画に出てくるような音と共に私は海の中にいた。 ああ… やっぱり不幸は続くんだ。 .
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