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「お待たせしました!どうぞ食べて下さい」
ニコニコの満点笑顔で差し出された八住の自信作。
温かい湯気が立ち上がり、ホットミルクより身体が温まりそうだが……
「どうかしましたか?」
「えっ?…あーうん…」
立ち込める匂いが堪らない。
どうしたものか。
「自信作のカレーライスなんですよ。皆さんに好評で…片岡さんのお口に合うか心配ですが…」
少し照れながら語る
八住が可愛い。
今すぐにでも答えてあげたいのだが、私は……
カレーライスが大嫌いなのだ。
「カレーライスってなんか好きなんです。子供っぽいですかね?」
「そんな事ないわよ…大人でも大好きな人いるもの」
期待を込められた目で、私が食べるのを待っている。
食べないわけにはいかない。
初対面でいろいろあった後だ、大嫌いだなんて言ったら八住はますます落ち込んでしまうだろう。
スプーンを手に取り、ライス多めにカレーを少しだけつけて口に運んだ。
「う…うん…美味しい」
笑顔が固い気がする。
微妙に口の端がぴくぴくと痙攣しているようにも思う。
「……大丈夫ですか?やっぱり具合悪くなっているんじゃないですか?」
カレーライスを食べたから悪くなったとは言えない。
都合がいいので話を合わせることにした。
「うん、ごめんね。せっかく出してくれたのに…食べられないわ」
「いいんですよ!少し横になりますか?」
言葉に甘えて
横になる事にした。
そういえば私、疲れてたんだよね…本当に体調が悪くなったのかもしれない。
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