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二階の八住の部屋に
通して貰った。
初対面の男の部屋にのこのこと入っていく私ってどうなの?と軽く落ち込んだ。
八住の部屋は六畳一間で何もなく殺風景だった。
窓際にシングルベットが置かれ小さな本棚があるだけだ。
本棚はいろんなジャンルの本がびっしりと並び、棚の横にも積み上がっていた。
テレビがないから、主に読書をして空いた時間を過ごしているみたいだ。
「ベット使って下さい。今、薬を用意しますから」
掛け布団をめくり、敷布団をポンポンと叩いた。ここに寝てと言っているようだ。
「ありがとう…お言葉に甘えます」
のそのそと布団に潜り込み
目を閉じた。
「下にいます。何かあったら呼んで下さい。薬は枕元に置いておきます……おやすみなさい」
八住の穏やかな口調と、微かに聞こえる波の音が心地よい。
あまり優しくしないで
欲しいなぁ…
あの一人の部屋に帰りたくなくなってくる。
せっかく癒された心も
また元に戻っていく気がする。
八住が一階へと下りて行く
音が聞こえる…
人が居るという音がこんなにも安らぎを与えるのかと、今更ながら気付いたのだった。
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