17人が本棚に入れています
本棚に追加
一筋の銀色が走る度に紅が舞う
黒髪の男の周りには幾つもの肉塊が散らばっている
男はただ肉塊を踏み、まだ息をしている1人の男に剣先を向けた
「た…たすけてくれッ!!金ならいくらでもッ…」
全てを言い終わる前に懇願した男の首がずるりと落ちる
残った体からは鮮血が噴き出す
その鮮血は黒髪の男を紅く染めていく
まだ暖かいそれを感じながら呟く
「地獄じゃ金などただの紙切れだ…」
さっきまで息をしていた肉塊に囁くように話す黒髪の男は刀についた血を振り払い、鞘に納める
そのまま何もなかったかのように夜道を歩く
そこには真っ赤な月と真っ赤な血、事切れた肉塊が残っただけだった
肉塊が最後に視たのは、今夜浮かぶ紅に染まる月のような瞳だった
最初のコメントを投稿しよう!