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突然現れた純白の髪をした男は少年の近くへと歩み寄る
男が近くに来て少年はようやく男の顔を見ることができた
その顔はまだ若く、少年とそこまで年が離れていることはない
男は持っていた手拭いで少年についた液体を拭き取っていく
『…お前しか、助けられなかったようだな』
男は近くに倒れていた少年の母の姿を見て呟く
そのまま男は立ち去ろうとすると、突然袴の裾を掴まれた
『お兄さん…オレ…強くなりたい…剣、教えてッ…』
男は少年の瞳を見て驚いた表情をした
世にも珍しい真紅の瞳をしていたから
男はクスリと笑い、少年に問いかける
『…お前、名前は?』
『オレは…歌波(カナミ)』
『歌波とは…優しすぎる名前だな…これから他人に名を教えるときは響(キョウ)と名乗れ…お前には俺の師に会わせてやる』
突然響という名をもらい、純白の男の師匠にも会わせてもらうことになった少年はただただ驚くことしかできなかったが、満面の笑みを浮かべて喜んだ
少年は母の亡骸を葬ってやり、純白の男のあとをついていく
その時純白の男は艶月の光によって髪が燃えるような赤になっていた
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