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雪奈宅まではそう遠くないという話だったので、ある程度落ち着いた乙樹は雪奈と何とか話そうとしていた。
乙「へぇ~、この世界にもカラオケとかあるのか~。」
雪「……………うん。」
雪奈は説明以外は頷きしかしないから会話にならないので乙樹は戸惑っていた。
乙(何か…俺変なこと言ったかな……?ただ仲良くしたいだけなのになぁ~)
と思うがやっぱり上手くいかない…。
というかカラオケあるってどんだけ馴染みやすい異世界だ。
雪(……この人………喋ろうとしてくれてる、でも……)
雪奈は乙樹が話し掛けてくれるのを内心嬉しく思っていた。しかし彼女は無口な為、上手く話す事が出来ない。それをもどかしく思っていた。
更に彼女は乙樹には、いや人には知って欲しくない事がある為、場を保とうとする優しい彼が離れていく事を恐れて話せなかった。
しかし、人生は非情で彼女が恐れていた事態を招いてしまう。
雪「………………あっ!」
雪奈が考えている時に何も無い所で転んで、強風が吹いて帽子が取れるというドジッ娘でも起こせない奇跡の珍プレーを起こして、彼女の頭部がさらけ出された。その結果
乙「………狐耳?」
雪奈の頭部に狐の様な耳が生えている事がばれてしまった。
雪(………バレ…た!?知られちゃいけないのに……。)
雪奈の心は今の出来事で絶望で一杯になってしまった。乙樹とはさっき会ったばかりだったが、優しい人というのは彼の態度を見れば直ぐに分かった。そんな人だから、離れていく事が雪奈には耐えられず、その事を考えて今にも泣き出しそうだった。
そんな彼女だから、この後の乙樹の言動は予想が出来なかった。
乙「………うわ~!狐耳だ!可愛いなぁ!ねぇ!触って良い?!」
雪「…………ふぇっ?」
乙「いや、触って良いかな?!やっべ、マジ可愛いなぁ!」
拒絶されると思っていた雪奈は乙樹の発言、いや暴走にただただ戸惑っていた。
雪「…だって………僕、獣人だよ?嫌がらないの……?」
乙「獣人…?」
雪奈は躊躇ったがゆっくりと乙樹に説明をし始めた。
というか僕っ娘に獣人で無口ってどれだけ萌えポイントが高いんでしょうか?計り知れないです。
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