☆ボク☆

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ここはとある街並み。 どこにでもあるような…賑やかな商店街が並ぶ大通りにボクは来ていた。 ボクに名前はない。 姿は闇に溶けてしまいそうな――…全身真っ黒毛の…野良猫だった。 季節は冬なので、真っ暗になっていくのは早い。 人がまばらになってきたときに、ボクはこの商店街に来た。 もし大勢の人間がいたら厄介だからだ…。 しばらくその大通りを歩いてみて、何かないかキョロキョロと周りを見てみる。 もう夜になるので、あちこちのお店は閉まってきているな――…。 不意にそこに止まって、空を見上げた。 満月が…とても綺麗にボクを照らしてくれていた。 だけどあんなに綺麗に輝いている月が…憎く思えてしまう。 満月はボクを照らす。 光があれば…影ができる。 幸せなやつがいれば… 不幸なやつだっているんだ。 だったら――…光なんてなくなっちゃえばいいのに。
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