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腹部に痛みがした。
人間が投げた小石が、きっとボクの腹部に当たったのだろう…。
だけど痛くても、痛くても――…ボクは我慢した。
ここで逃げてしまったら…負けとなってしまうから。
「あはは、良い的当てだよな!」ボクの頭に「おもしれぇっ」ボクの背中に「ちょっとやりすぎじゃあ…」心配する声が消えてしまうほど笑い声が響く。
「いいだろぉ、“黒猫”なんだからっ!!」ボクの自慢の尻尾に「“不吉”の象徴めっ」ボクの足に。
痛みが…すごい。
痛い…痛いよぉ…。
だけどボクは耐えきった。
動揺も何もしないボクに飽きたのだろう…。
人間はどこか他の場所へ行ってしまった。
ボクは一旦路地裏へ行くと痛みに耐えられなくて…鳴いた。
「にゃ…ぁ」
バタッ…と地面に体を倒して、痛みをこらえつつ…目を閉じた。
――…どうしてボクは生まれてしまったのだろうか…?
前まではこんなじゃなかったのに…。
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