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全員の人間が、ボクに石を投げつけてくるわけではない。
だけど、冷めきった目で…ボクを見る者もいた。
こんなことには…慣れている。
危害を加えない…こいつらの方がマシだ…。
「お母さんっ、あれ買って!」
小さい子供が…ガラスにぺったりくっついて何かを見ていた。
そのガラスの向こうには…可愛いお人形があった。
「じゃあ誕生日プレゼントに買ってあげるね」
ボクの後ろから、大人の女性の声がして…子供がこっちを見る。
母親が、後ろにいて…子供はその母親に飛び付く。
――…人間が…羨ましい。
何度思っただろうか…?
――…人間が…妬ましい。
何度恨んだだろうか…?
ボクはそれを見ているのが辛くて…早足でさきに進んでいった。
目的地があるわけではないのだけれど――…。
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