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もうこんな孤独には慣れてしまっていた。
むしろ…望んでいた。
誰かを、あんな風に思いやることなんて…紛らわしいから。
もう…思いやる相手さえ、いないのだから。
だからボクは…一人の方がいいんだ。
夜はさすがに冷えてきて、ボクは帰ろう…と来た道に戻ろうと、体を反対に向けた。
だけど、前足は地面につかずに浮いて…
体全体が浮いて…
目の前に、人間が現れた。
というか、人間が…ボクを抱えていた。
前足の脇あたりに手を引っ掻けて…人間の顔辺りまで高く上げる。
何者だっ、こいつ!
まさか…こっから落として殺すつもりなのか…?
そう考えて暴れようとした瞬間に――…
彼は意外な一言を放った。
「こんばんは」
ボクに…あいさつしやがった…?!
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