配達は鮮度が命

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トンネルの向こうはジグソーな世界でした。 壁に飾られている名前も知らないおそらく拷問器具であろう品々を見ながら、俺は心の底からエマージェンシーを打ち鳴らしていた。 今夜は定時には帰れそうにないぜ! しばらく呆然と周りを眺めていた俺はとりあえずやたら不気味な人形が『やあサンタ、ゲームをしよう。』とか言う前に配達を済ませる事にした。 「えっと…子供部屋は二階か…。ぬぅ、ここは一階じゃん。なんて面倒な!」 などと足をガックンガックン奮わせながら独り言をぼやきながら、俺は二階へと向かった。 ………階段が見当たんね…。 何?もうゲームはスタートしてるわけ? 風呂場に二人の男と一つの死体でもあるわけ? いやだあああぁぁぁーーーっ!! 「…おい?」 「へっ?…っえ!?」 突然、後ろから声がした。 俺は反射的に間抜けな声を上げてしまい、ヤバいと思いながらも恐る恐る後ろに振り向いた。 すると、そこには意外な人物が立っていた。 「クレイトン?何でアンタがここに?」 「いちゃあわりぃーかよ?ここは俺の配達現場なんだよ!」 クレイトン コイツは俺と同期のサンタクロースである。 ちなみに男ね?過剰な期待はするなよ?
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