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「もう僕じゃ適わなくなったか・・・。」
男の方は苦笑いして立ち上がった。
「さすがは美希さんの娘、か。」
男はそう付け加えた時、入ってきた二人に気付いた。
「ラン。来てたのか。・・・情けないところを見せたかな。」
ランはそう言われたものの、入ってきたばかりで状況を理解できない。青年がボソッと呟く。
「マスター・レツでも適わないか・・・俺じゃ怪我するだけだわ。」
ランはそれを聞き逃さず、男に尋ねる。
「レツ、あなたなつめちゃんと闘ってたの?」
男はレツと言う名らしい。レツは質問に答える。
「ああ、とても強くなっていた。10年の間に抜かされてしまったよ。もう僕じゃ適わないな・・・。」
「そう・・・。でも、10年前、私たちのあの戦いを一番近くで見ていたもの。強くなって当然だわ。」
女の方もこちらに近づいてきた。年齢は20歳前後と言ったところだった。
「じゃあなつめちゃん、次は私と。」
女はなつめと呼ばれた。ランに笑顔で頷き、闘いを始めようとした。
「姐さんも、先輩も、まずは俺と・・・。」
それを必死で止めに入る青年。
「君は確か・・・最近入った・・・シュウ・・・だったかな?」
レツが青年に尋ねる。青年はレツの方を向いて一度頷くと、再度ランとなつめの方を向く。その時、4人の背後から別の声がした。
「お主ら、精が出ておるのぉ・・・。」
彼らが振り向くと、そこには人間と同じ大きさの巨大なネコがいた。
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