街での生活

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翌日、ダグラスとエイミーはいつものように豚を解体してる時に、誤って大腸の皮を突き刺してしまった。 大腸には臭い排泄物。つまり糞尿が詰まってる。エイミーはその臭さに、うえぇー。と冗談混じりにダグラスに言った。ダグラスも笑いを返したが、笑みが止まった。 エイミーがそれに気付き、ダグラスの視線の方…足元にしたり落ちた糞尿に目を向けた。糞尿に混じって、髪の毛や切断された指。そして明らかに分かる頭蓋骨の割れた骨があった。 エイミーは、誰の?とダグラスに尋ねた。ダグラスは誤魔化す事が出来ないと悟った。 「エイミー。落ち着いてよく聞くんだ。これはエイミーが大人になってから話そうと思ってた事なんだ」 「人間を食べてるの?」 「食物連鎖という言葉を学校で習ったかい?」 ダグラスの思考はまとまらないまま、思い付いた言葉を口にした。ダグラスの頭は、これでもうエイミーは解体をしないだろう。という絶望だけだった。それでも一縷の望みに賭ける。 「ダグラスは知っていたの?なんで?ホセも?ミンナも知ってるの?」 エイミーはナイフを落とす。エイミーが吐かないのと、逃げ出そうとしない態度を見てダグラスは覚悟を決めた。 「そうだ。これはエイミー。全て君の為なんだ。この村の豚が美味しいのは、人間を餌にしてるんだ。それだけじゃない。エイミーは性行為。セックスを知ってるかい?豚に男性の精子もあげているんだ」 「なんで私の為なの?」 エイミーの言葉からは何の感情も伺えなかった。怒りも悲しみも。ただ知りたいから聞いたのだとダグラスは判断した。 「この村には女神が必要なんだ。女神を守る為に存在している。それにはお金が必要であり、人手も必要なんだ。村人は全員、刑務所から来た人なのは知ってるよね。皆。普通の生活には戻れない人達なんだ」 「僕もね」 ダグラスは付け加えた。
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