29人が本棚に入れています
本棚に追加
なんとなく眠れない夜を過ごした次の日、けだるさが残ったまま仕事へと向かった僕等は、帰ってきて唖然とした。
「なんだ!?この臭い!」
鼻をつく死臭!
「まさか…!」
僕等はチコの小屋へ走った!
「なんだよっ!!ふざけんなよ!!」
…チコは、昨日と全く変わらない状態でそこにいた。
僕は急いで事務所に入り、そこにいた社長を怒鳴りとばした。
「焼き場はよっ!?なんで連れていかないんだよっ!?」
あまりの剣幕に社長もびっくりしたようだ。
「鏡ちゃん!ちょっと待てって!せ、説明するから!」
……何が説明だ…
「また、忙しくて…ですか!?」
「あ…あぁ、…そうなんだよ、全然時間が取れなくって、仕方なかったんだよ。」
「どうするんすかぁ?!
臭いひどいっすよ!」
九月の残暑、腐敗もはやい…
「…弱ったな…、こりゃあ…」
弱ったのはこっちだ。
「明日必ず、なっ、あと一日我慢してくれよ。」
「…ったく!」
「あっ、そうだ。」
何を思ったか社長がロッカーを開けた。
たたまれた大きめの段ボールを取り出し、僕に言った。
「これに入れといて。」
「なっ…!!?」
呆れた!呆れた!!
僕は、段ボールを引ったくるように取り、外に出た。
…辞めてやる!こんな会社!…
「トミー!ビト!アーミー!ちょっと来い!」
段ボールを手荒に組み立てながら、三人を呼んだ。
「これにチコを入れろ。」
「ウォッ!コレニデスカ?」
「そうだよ、コレニデスヨ!」
僕は吐き気を我慢して小屋へ向かった。三人が続く。
「トミー、チコを出せ。」
「ワカッタデス!」
…?なんだか勢いがあるな。嫌じゃないのか?
トミーはグッと右手を小屋の中へ突っ込んだ。
「鏡サン…チコ、ムコウデス、モウスコシアルデス。」
「ん?届かないのか?」
「コレデス鏡サン、」
アーミーがチコの鎖を持った。
「よし、引っ張りだせ。」
「ハイ、ヒッキマス。」
アーミーが鎖を引っ張る
…が、チコが痩せすぎていたため首輪ごと抜けてしまった。
「オゥッ!」
その首輪を見てビトが飛びのいた!
最初のコメントを投稿しよう!