29人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
僕等はテーブルを囲んで座った。どうも俯におちない。
「ビト、なんのケアもしてないの?今週。餌もやってないの?四日も?」
ビトは困った顔をしている。でもそれは、質問の意味がわからないというだけの困り顔だった。
アーミーが母国語で通訳する。それも正しいかどうか…疑問。
二人はベラベラと訳のわからない言葉を交わしていた。
「…鏡サン、タベモノアリマセンデシタノデス。ダカラ…」
ビトは消え入るように言った。
「餌がないからやらなかったのか?!なんで『ない』って教えないんだよ!買ってくるだろーが!!」
「ワタシハイッタデスートミーニイッタデスー!」
ビトは泣きそうだった。
「トミー、知ってたの?
」
三人の中で、トミーは一番年下。二人のパシリみたいに使われている。
「ハイ、シッテルデス。鏡サンニイッタデス。」
トミーは僕を指指しながら言った。
「いつーっ?!!俺にぃ?!」
びっくりした。
「ハーイ、サンデーデス。」
日曜に?俺に?
全然覚えがなかった。
俺が買ってこないから餌やれなかった?
トミーは、三人の中でも信用できる男だ。仕事も生活も問題なく、一生懸命母国の家族のために頑張っている。嘘などつかないだろう。あまりしつこく言うと俺が怒鳴るから、それ以上言えなかったのか?
ヤバクなってきた…
三人の僕を見る目が、ちょっと細くなった気がした。
「ア、アーミーよ、お前あれか?なんで痒いってわかった?」
矛先を変えようとしたが、皆の目はさらに細くなった。
「ワタシガ、トウベンノトキ、パワースゴクカイテマシタカラ…」
…あぁ、当番の時凄い勢いでかいてたのね…
…?
「アーミー、なんかついてるぞ。なんだそれ。」
アーミーの襟元に小豆大の物体…、モゾモゾと動いて…るのか??
「………ダニだ!!」
これ以上膨らまないと言わんばかりにでかくなった腹。
…こいつのせいか!?
「ヒィーッ!!」
アーミーは慌てて払い落とそうとしたのだが、次の瞬間、ブヂュッ!っと嫌な音がした…
……潰しやがった…
辺りにチコの血が飛び散った。
なんでこんなに吸ってんだぁ?と思う程。
ガタイのいいアーミーだが、かなりの小心者のため、すでにパニックだ。
「ワォッ!!ワォッ!」
「拭けよすぐ!」
最初のコメントを投稿しよう!