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知らない間、家の外にある外灯を見ると、霧雨が降っていた。
仏壇には彼の写真が飾られている。
私はそれを毎日見続けながら、彼の事を心から思っていた。
まるで一枚の花びらが水面に乗り、流され...朽ちていくかのようだった。
仏壇から離れると、
雪洞がある所へと向かった。
彼が好きだった雪洞、
とても大切に使っている。
雪洞に赤い灯を灯し、お化粧をする。
鏡に映る自分自身...
無表情な顔立ちで、姿など人に見せるようなモノではなかった。
「笑えない...」
私は笑い方を忘れてしまった。
あの頃はいつも彼と笑っていたのに...
私は彼の死を受け入れられず...
「もしかしたら彼が『ただいま』と帰ってくるかもしれない」
暖かい声...
もう一度聞きたい...
そう思いながらズっと一人で彼の帰りを待っていた。
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