プロローグ

2/6
397人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
時刻は11時。 近代的なビルが建ち並ぶ静まりかえったビジネス街。そこで一人の少年が武器を振るっていた。 「ギィィーーー!」 少年の背後に子供大の何かが奇声を発しながら襲いかかる。 少年は慌てた様子もなく僅かに体をずらすだけでやり過ごし、持っていた武器を振り上げた。 背後から襲った何かは地面に着地すると、真っ赤な血を吹き出しながら胴から真っ二つに分断された。 それを少年は無感情な眼で見届け、すぐに視線を上げ、上空を見上げた。 空から先程切り捨てた何かと同じものが三体降ってきていたのだ。 手に持つ武器に力を込め、腰を落とす。 そして、空から降ってくるものが武器の間合いに入ったと同時に、旋風が巻き上がり、上空から強襲したものは一瞬にして細切れにされた。 傍から見ればそれは何かの魔術を使ったかのように見えただろう。 魔術が日常レベルで浸透した今ならば尚更だった。 しかし、少年は何の魔術を使っていない。ただ、己の剣術を行使しただけである。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!