プロローグ

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「…これで、全部か」 少年は武器の刃に付いた血を振り払らいながら、辺りを見回して呟いた。 少年が手にしている武器は奇妙な形をしたものだった。 やや長めの柄の両端に長い両刃の剣が付いた物だ。それは、全体的な長さでは少年の身長を越えている。 少年の名は長谷 隆斗(ながや りゅうと)。銀色に染めた頭に、常に無愛想な表情をし、いつも首から銀色のペンダントを掛けているのが特徴である。 敵が居ないことを充分に確認して、場所を移す。 途中、さっき殺したばかりの何かの屍体が幾つか転がっている。 その屍体の特徴は、長く尖った耳、異常に長い鼻、口の端から覗く牙、緑色の皮膚だ。これは一般には“ゴブリン”と呼ばれている魔界の住人である。 しかし、隆斗はその名称を知らず『何かを殺した』としか思っていなかった。image=207876993.jpg
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