プロローグ

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隆斗が向かった先、そこには隆斗よりも多くのゴブリンを相手にしている一人の少女がいた。 彼女が手にするのは黒塗りの大鎌。 禍々しく湾曲した長大な刃の反対側には無骨な斧の刃。明らかに少女よりも大きな武器で、扱い切れる筈がない。しかし、彼女は華奢な身体で自分よりも大きな武器を片手で回しながら、舞う様に扱っていた。そこに重力は一切は感じられず、とても軽やかだ。 彼女が鎌を降るごとに二つの首が飛び、あっという間に少女を囲っていたゴブリンは全滅した。 相手の全滅を見計らって、隆斗は声を掛ける。 「シズネ、こっちは終わったぞ。そっちも今ので終わりか?」 “シズネ”と呼ばれて少女は慌てて隆斗の方に振り返る。 彼女は人形の様に整った顔立ちと膝裏近くまで伸びた漆黒の髪に、身体を拘束するようにキツく巻き付けられた黒いベルトが特徴である。 「隆斗様! …はい、今ので敵の掃討は終了しました。現在この付近に敵の気配は感じません。長居は無用かと思います」 「そうか…、なら引き上げるぞ、人払いの結界の解除と同時に転移術式を展開してくれ。魔装警備隊に見付かったら面倒だ」 「はっ、ただちに用意します」image=207889095.jpg
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