プロローグ

6/6

397人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
隆斗が怒っているのを感じてか、シズネは頭を下げて謝った。 「申し訳ありません、冗談が過ぎました」 申し訳ありません、という割りにはあまり申し訳なさそうではないが、それがシズネだ。隆斗は溜め息と一緒に流すことにした。 「俺が言いたいのは今日の奴等の動きについてだ」 「…今日の彼らの動きに統率が見て取れました。恐らく彼らは自力で人間界に来たのではなく、召喚されたのでしょう。彼らは元々知性が低い者で、召喚した者が居なければ連携すらできませんから」 「って事は、俺が探している奴じゃないとしても、敵が来た。という事だな」 「…はい、隆斗様に刃を向ける敵です。ならば私はその敵を殲滅するまでです」 シズネは強い意思のこもった眼をして応える。 隆斗はそれを心強く思い、シズネの頭に手を軽く乗せた。 「頼りにするぞ」 「お任せ下さい」 「そうか」 「はい」 淡々とした味気の無い会話を終え、シズネを連れて屋上を後にする。 夜は戦い、昼は学校に行く。それが長谷隆斗の日常である。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

397人が本棚に入れています
本棚に追加