帰宅 居候の使い魔

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人間と獣人と魔術師、そして異能力者達と共同戦線を張った神との戦い、オペーション・コード ラグナロク(神堕しの戦争)から50年、獣人と魔術師と異能力者とのわだかまりも消え、平和となった──筈だった。 神が死んだせいで(殺した側の種族のセリフじゃないが)、魔界と人間界を繋ぐ門が開いた。 門からやって来た連中は人間大好き(食い物として)、破壊大好きの血気盛んな連中だった。 当然、人間界にいる者達はそんな連中は、Go Home(とっとと帰りやがれ)って感じなので、すぐに戦いが始まった。 そこで立ち上がったのは俺の先祖、霧叢一族だ。 魔界からやって来た連中から人間や獣人達を守るために武器を手に取った人間。 彼らは多くの屍を重ねながらも、病的と言って良い程の徹底した殲滅を展開してきた。更にその矛先は、人を襲う獣人や獣人を人と同等に扱わず、売り物にする人間にも向いた。 ──そこだけ見れば霧叢一族は正義のヒーローなのだが、彼らの苛烈な戦いぶりから、畏敬と憎悪を込めて"討滅師"と呼ばれていた。 俺の身体にはそんな一族の血が流れていて、滅んだ今でも俺の命を狙う連中がいる。 まあ、俺にとってそんな事は些末な事で、重要なのは一族を滅ぼした連中だ。 …霧叢一族は確かに恨まれていた。散々殺しまわったのだから滅ぼされても仕方が無いのかもしれない。だが、俺の妹、姉さん、兄さん、そして使用人達は殺される理由が無いんだ。 彼らはまだ何も殺していない。だが、無残に殺された。俺はそれが許せない。だから夜な夜な出歩いて犯人を探す、霧叢一族に恨みを持つ者だったら必ず向こうから来るから。
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