1章:防衛学園

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 ここは『太陽の帝都』。国の首都であり、最も人口が多く活性化している都市である。  国軍が運営する『帝都防衛学園』は国の中でも指折りのエリート達が集う学園だが、ただの学校とは違う。そこは、魔物の討滅の為に兵士を育成する、兵士の兵士による兵士の為の学園なのだ。  シリルは3年前に編入したばかりの見習い兵士、役職は剣士である。素質がないわけではないのだが、未だに見習い剣士から昇格したばかりの剣士と変わらぬレベルである。  シリルの姉、シュゼットは防衛学園が誇る唯一の女性のソードマスターで、戦場を一角獣のように駆け巡り現在は国軍と共に行動している。  そんな姉と比べると、シリル自身は同じ遺伝子を持つにも関わらず無能であると悩んでいる。 「浮かない顔をしてますが……何か悩み事ですか、シリル君」  落ち着いた声色で彼に話しかけている学生が怪訝そうに彼の表情を伺っている。  彼はヴァーリ、シリルの親友である。役職は飛竜騎士、ドラゴンに騎乗し戦う兵士だ。因みにレベルはシリルの1つ上である。 「あぁヴァーリ、何でもねーよ」 彼は白い歯を見せながら笑う。ヴァーリは目を細めると彼と共に学園へ向って歩き出した。
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