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「……やった、のか?」
シリルは荒く息づきながら剣を下ろす。ふとゾンビの残骸を見ると、それは灰となり消えた。
「! 危ない!」
飛竜の上から女の声が聞こえた為、シリルは咄嗟に受け身をとり剣を構えた。
ゾンビがシリルに向かって来る。シリルは重い足取りで剣をゾンビに向けると、目の前が一瞬闇に覆われた。正体はムササビである。
視線を上げると豪華な飾りを纏った馬がそこにいた。これは聖騎士ではないと乗れない馬である。
「大丈夫かい?」
「なんとか……」
「良かった……。スフレ!」
ムササビが彼の肩に飛び乗る。愛らしい潤んだ瞳がシリルを見つめていた。どうやら青年のペットらしい。
青年は残り2体のゾンビを片付けるとイヤホンを外してシリルに近付いた。
「申し遅れたね。俺はギャレット、こいつはスフレ」
「オレはシリル……さっきはありがとうございました!」
「僕はヴァーリです。お力になれず申し訳ないです」
「気にしないで。キミは?」
「あ、あたしはライサです。あの、お礼をしたいので良ければ少しお時間頂けませんか?」
ギャレットは微笑むとすぐさまスフレを自分の反対方向へ飛ばさせた。
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