1章:防衛学園

6/11

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「オレ結構忙しいからすぐ行かなきゃいけないんだ、ゴメンね。ライサちゃんの気持ちだけ受け取っておくよ。それからシリル君にヴァーリ君、君達は周囲に気を配った方がいいよ!」 そう言うとギャレットは颯爽と去ってしまった。 「……行っちゃいましたね」 「ああ……」 シリルとヴァーリが彼の姿に気をとられていることに気付いた女、ライサは二人の前に現れた。 「アンタたち、学園の生徒なの?見掛けない顔だけど……」 「あ、まあな。えーと……」 「ライサよ。さっきはありがとう。助かったわ」 「オレはシリル、高等部の1年だ」 「僕はヴァーリです、シリルと同学年で……」 硬直するヴァーリの眼前でシリルは手をひらひらとさせた。すると目の前には獲物を見つけた虎のごとく迫る影があった。 「シリルー!!!!」 凛とした女の声である。シリルはにっこり笑みを浮かべて迫る彼女に近付き手をとった。 「シュゼット姉さん、どうしたの?」 「姉さんですって!?」 ライサの素頓狂な声にシリルは圧倒される。 「ああ、ライサ。私の弟に何かしたのか?」 「いいえ魔物から救った勇者ですわ」 「そうか。ライサ、お前の弟が忘れ物を届に来たぞ」 シュゼットの後ろからは少年が弁当包みを渡している。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加