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「オレ結構忙しいからすぐ行かなきゃいけないんだ、ゴメンね。ライサちゃんの気持ちだけ受け取っておくよ。それからシリル君にヴァーリ君、君達は周囲に気を配った方がいいよ!」
そう言うとギャレットは颯爽と去ってしまった。
「……行っちゃいましたね」
「ああ……」
シリルとヴァーリが彼の姿に気をとられていることに気付いた女、ライサは二人の前に現れた。
「アンタたち、学園の生徒なの?見掛けない顔だけど……」
「あ、まあな。えーと……」
「ライサよ。さっきはありがとう。助かったわ」
「オレはシリル、高等部の1年だ」
「僕はヴァーリです、シリルと同学年で……」
硬直するヴァーリの眼前でシリルは手をひらひらとさせた。すると目の前には獲物を見つけた虎のごとく迫る影があった。
「シリルー!!!!」
凛とした女の声である。シリルはにっこり笑みを浮かべて迫る彼女に近付き手をとった。
「シュゼット姉さん、どうしたの?」
「姉さんですって!?」
ライサの素頓狂な声にシリルは圧倒される。
「ああ、ライサ。私の弟に何かしたのか?」
「いいえ魔物から救った勇者ですわ」
「そうか。ライサ、お前の弟が忘れ物を届に来たぞ」
シュゼットの後ろからは少年が弁当包みを渡している。
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