第一章…1944年6月20日

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この日、ベルリンの某所にある屋敷の一室に数人の男達が集まっていた。 彼らのほとんどが高位の軍人であり… その軍服は全て国防軍のものであった。 彼らは皆思い詰めた…深刻そうな顔をしていた。 そして… 屋敷の主人で、一番高齢であると思われる男が口を開いた。 『先頃、連合軍によって行われたノルマンディ上陸により…我がドイツは更なる苦境に立たされた。』 彼はここで一同を見回し、こう続けた。 『対ソビエト戦においても…諸君らの知る通り、スターリングラードで第六軍が包囲殲滅されてからというもの…我が軍は苦戦続きであり、さらにはクルスクでの戦闘により…我がドイツ軍の戦闘能力は著しく低下した。』 ここで彼はまた一拍置き… こう続けた。 『昨今は連合軍によるベルリン空襲という、最悪な事態にも陥ってる…この状況を打破するためにどうすれば良いか、諸君らの存念を聞きたい。』 彼はこう言った後、一言付け加えた。 『私の答は一つしかないが…』 …と。
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