第一章…1944年6月20日

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『答は一つと?』 その場に居た面々は、ただの二人を除き… 表情を強張らせた。 『上級大将閣下の言わんとする事は、もしかしたら…』 一人の民間人とおぼしきメンバーが、そう問い掛けた 上級大将と言われた、最年長の軍人は… その問い掛けに力強く頷き、 『うむ、最終解決策として…それしか無いものと愚考する。』 と、答えた。 その時…表情を変えずに居た、もう一人の軍人… 右目と右腕を失ってはいるが、端正な顔立ちをした男が言葉を次いだ。 『最終解決策…つまりは、我が総統の暗殺と…それに付随したクーデター…と愚考しますが? 如何でしょうか?』 これを聞いた一同は、様々な反応を示した。 発言の意味を踏まえ、押し黙る者や… 我が意を得たとばかりに、顔に喜色を浮かべる者… 上級大将と呼ばれた最初に発言した軍人は、その後者の部類であった。 『うむ!まさにその通りだよ!シュタウフェンベルク大佐!私はドイツを破壊と破滅から救うには…それしか無いと思っている。』 シュタウフェンベルクと呼ばれた隻眼の軍人は… 『私も同意見です、上級大将閣下。』 と、短く…しかしきっぱりと答えた。
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