第一章…1944年6月20日

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そして、シュタウフェンベルクはこう続けた… 『彼は、かつて我々が忠誠を誓った人物ではありましたが… 今は尊敬すべき指導者と言うより… 蒙昧にして愚劣な…まるで先制君主のような人物に成り下がり果てました。 かくなる上は…彼を速やかに除去し…』 上級大将と呼ばれた男が、右手でシュタウフェンベルクの言を遮り… 言葉を繋げた。 『つまりはだ、我が総統にはしかるべき手段を持って、退陣していただき… その後に新たな内閣を作り、その政府主導で連合軍との和平交渉をする… という事だね?シュタウフェンベルク大佐?』 上級大将の顔は平静そのものであった。 そして、シュタウフェンベルクの顔もまた… 平素となんら変わりないものであった。 『おっしゃる通りであります、上級大将閣下。 それが我がドイツを救う唯一の手段だと確信しております。』 彼ら二人を省いた、他の面々は… 予想していたとは言え… その会話の内容に衝撃を受けていた。
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