第一章…1944年6月20日

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しばしの間…場に奇妙な静寂が訪れた… 誰もが…上級大将とシュタウフェンベルク以外の誰もが… 口を開こうとしなかった。 どれだけの時間が経ったのだろうか… いや…正確に言えばその静寂が支配した時間は、ものの1~2分のはずであったが… 彼の二人以外には永遠とも感じられた時間であった。 程なくして…その重苦しさに堪えれなくなったのか…一人の軍人が口を開いた。 『総統を除去…いや、退陣して戴く手筈は? 出来ているのかね?シュタウフェンベルク大佐?警戒は厳重で難しいかと思われるが…』 シュタウフェンベルクは平然と… 『爆殺します、ラステンブルクのヴォルフ・シャンツェ(狼の巣、戦時下における総統大本営)に呼ばれた時が、チャンスだと思われますが…』 と、言ってのけた。 『ヴォルフ・シャンツェの警備は厳重極まり無いと思うが…シュタウフェンベルク大佐、如何な手段を用いるつもりかね?』 合点の行かない軍人は直も質問を続けた。 これに対しシュタウフェンベルクの回答は明快であった。 『私がアタッシュケースに入れて、彼の場所に持ち込みます。 アタッシュケースの中身は、総統に見せるための資料と言えば…警備の者は確認すらしないでしょう。 これは過去に実証済みです』
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