僕はきっと

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 1時限目のチャイムがなり、クラスの学級委員が前に立つと2人いるうちの1人が黒板に『文化祭、模擬店案』と右のほうに書いた。 「えーそれではこのクラスのやる模擬店を決めたいので、意見がある人は言ってください」 僕らの学校の文化祭は1クラス1つ店を出すという決まりがあり、出た案を学級委員が生徒会本部に持っていき、2つ以上のところと被ってなければ採用される。 「たこ焼き屋」 「綿菓子なんかは?」 「メイド喫茶、いやコスプレ喫茶も」 「それどっかと被るだろ、金魚すくいは?」 「金魚どこからもってくんだよ! アイス屋でよくね?」 「この時期にアイスかよ!? それこそないよ」 次々にクラス男子たちが声をあげる。女子はわりと静かで、男子の言い合いを呆れた表情で傍観していた。 出た案を逃さす黒板に全て書いていく書記専門の学級委員の手は、目で終えないほど早く、僕はしばらくそれを眺めていた。 「去年と同じでカレー屋でいいと思うんだけど」 教室の中が和哉の一言で静まり帰った。 書記が黒板の書かれた案の一番左側に『カレー屋』と書く音が聞こえるほど、男子も女子も言葉を失っていた。 話し合いに参加していなかった僕は、その光景を見ながら大きく欠伸をした。 文化祭って準備と片付けが面倒なんだよな……
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