最楽

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街の中央、猛り騒ぐ場所があった。   『コロシアム』と人々は呼び、連日血をみる戦いが娯楽として繰り広げられていた。   賭けを楽しむ者、自分が育てた戦士を試す者、血と死を酒の肴として楽しむ者、参加者として公の殺しに狂喜する者。   目的は違えど皆の感情は同一、喜びだった。   それは悪魔にとっても。   人々が悪を好み喜ぶ、それは悪魔の喜びとなる。   そんな世界を見かね、コロシアムに天使が舞い降りた。   「皆様、このような悪行は止めましょう」   そこに悪魔が、俺の楽しみを奪うなと現れた。   「天使よ、人間はこの娯楽を手放しはせんよ」   観衆は突然出現した天使と悪魔に戸惑いはしたが、やがてこんな声が飛び交う。   「悪魔!!天使なんかやっちまえ!!」   「天使!!俺らに平和をくれ!!」   そんな声に触発された両者は攻防を開始する。   人間界では見ることのできない魔物の戦い、人々は最高の娯楽として楽しんだ。
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