8人が本棚に入れています
本棚に追加
目の前のそれが何なのか分からなかった。
のどの辺りまででてきているのだが、なかなか思い出せない。
それは珍妙な形をしていた。
手の平に納まるくらいの大きさ。
珊瑚と蜂の巣の子供はこんな形になりそうだ。
知ってはいるが、思い出せない。
記憶に穴が空いたような感覚。
それはまるで、その穴にはまるような気もする。
記憶の具現化、そんな形。
しかし思い出せない。
具現化だとしたら、目の前にあるのだからすでに分かっているはず。
いっそ飲み込んでしまおうか。
そう考えた。
しかしそれはのどにつまりそうだ。
そんな形。
思い出せない、のどにつまっているような感覚。
思い出せない、分からない。
分かった。
分かった、それは、分からない記憶の具現化だ。
最初のコメントを投稿しよう!