愛用

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前日の夜遅く、私は大金と書類を抱え帰宅しました。   集金の計算に不具合があって、家に仕事を持ち帰ったんです。   私の会社は大きく、さらにお金の話ですから、計算と書類への書き込み等遅くまでかかってしまいました。   いつの間に眠ってしまったのか、気付くと朝です。   しまった、と跳び起き時刻を確認するとすでに昼過ぎ。   私の体は便利で、いつもは遅刻しない時間には目覚めるので、時計はセットしていないんです。   それに、大金と書類を持った私が出社しないとなれば、電話があるはずです。   すぐに会社に向かいました。   到着すると驚きましたよ。   電話もできないわけです、会社が爆破してないんですから。   大会社を狙ったテロらしいです。   社員はほとんどが即死です。   行き場のない大金も、全て私のものです。   社員は皆亡くなったので、咎める者はいません。   今日に限って寝坊してよかった。   愛用している車が壊れ遅刻、愛用の時計が狂っていて遅刻、そういう話は聞きますが、私は愛用している何かで遅刻ではないんです。  それもおかしいですよね。   まぁ、大事な体とお金があってよかったよかった。   あ、愛している体とお金で遅刻だったんでしょうか…
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