白昼の間

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シャコシャコシャコ… 狭い廊下には歯をみがく音だけが響いていた。 ガラガラガラ… ペッ! 「ふぅ…」 そうつぶやいて洗面所から出てきたのは肩に触れる程度の赤いメッシュの入った黒髪を右目にかけ、首元にタオルをかけた少年だった。 前方の窓から爽やかな風が優しく吹いた。 風で揺れた薄いカーテンからは眩しい清々しい太陽の光がのぞいていていた。 季節は春… 開いた窓から吹いた涼しげな暖かい空気が部屋をめぐり、優しく少年の髪を揺らした。 「あああぁぁぁぁ!」 少年は窓に近づいて、力瘤しのついた腕を大きく伸ばし、叫んだ。 そしてクルリと振り返り、にっと笑った 「うし!行くか!」
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