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世はまさに動乱期。 世界の国々がいかにして領土を広められるかで、国の財力に差がつくのだ。 セフィロス帝国は若き皇帝が一代にして富を築き、力をつけた国。 魔力が強ければ、軍に入って美味い飯が食える。 強く無ければ……知らん。 「シェイン!やっぱお前がビリじゃん」 「そんなんだからいつまでもドベなんだよ!」 「ドラゴンの声が聞こえないドラゴン使いっているんだな!」 ドラゴン使いの養成学校、オベリスク学院の校庭の端。 黒い詰め襟に金のボタン。制服姿の少年達は、まだかまだかとある、一人の少年を睨み付けていた。 「うるせー!!だまってろ!」 「シェイン……またか……」 銀色の髪はセミロング。軽く後ろで縛り、少し長めの前髪から見える緑の瞳は、まるで猫のよう。少し小柄な身長は、16になった筈だが170cmもない。 シェイン=アフィスは、汗をかきながら目の前の小さな龍の瞳を見つめた。 「う~……。アテム、応答してくれよっ!」 アテムと呼ばれた仔猫ほどの真っ白なその龍は、赤い瞳をキョロキョロさせて『キュー』と鳴くだけで、なにも返してくれない。 「もう、いいから。今日の訓練はここでおしまい。みな、学院内に戻りなさい。シェインは士官室に来なさい」 「…………はい」
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