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「あー!シェインおかえり~。ついに普通科にいくのか?」 「早く行っちまえよ。お前がいなくてもどうでもいいし」 「落ちこぼれはいらないよ~」 口々に言ってくる生徒を振り払い、自分の席に向かった。 一番後ろの窓際。 それが、シェインの席。 一番目立たないし、なぜだか席に座ると誰も寄り付かなくなる。 アテムを机に置くと、鼻をかしげたり、シェインの指をしゃぶったりしてくる。 父さんは伝説とも言われているドラゴン使いで、最強って言われていたんだ。 俺にとって、父さんは誇りであり、もっとも大好きな存在だった。 父さんは、俺が8歳のときに、内乱に巻き込まれて死んじまった。 母さんは元奴隷で、まともな職につけず、体弱いのに自分の体に鞭を打って必死に働いている。 母さんは、とっても美人だ。 母さんの生まれはラウレーブという、偏狭の荒地。そこに暮らす人々はみな褐色の肌、赤い瞳、黒い髪をしている。 ラウレーブの民は、10年ほどまえにやっと解放された国で、前までは奴隷にされて、人身売買をされていたんだ。 母さんはそんな奴隷の家に生まれたから、生まれながらにして奴隷。背中の焼き印があるせいで、未だに消えない差別をされ続けているんだ。 「おい、お前の母親さ。奴隷なんだってな。俺ん家で働いてもらおうかな?」 「伝説のドラゴン使いの子供ってのは、嘘じゃねーの?」 「奴隷の子は奴隷だな。お前の親父は、全然知らないオッサンなんじゃね?」
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