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世界は無情だ。
お金で総てが動く。
人の感情なんて二の次三の次で、ほぼ無視される。
薙家は本日12月24日。
煌びやかに街が輝く中、崩壊した。
薬品方面に手を伸ばしていた薙家は全ての契約破棄。
つまりは見捨てられたのだ。……世界に。
総胤(ソウイン)財閥。
世界すら動かせる程の名家である。
その一家いやその次期総帥総胤妃粋(ソウインヒスイ)によって壊されたのだ。世界の均衡とやらを守る為に。
言えば総胤は常に頂点にいる、その絶対条件を乱す事は許されない。屈強な城を守るには、小さな虫でさえ手加減しない。
絶対を崩す恐れのある者は、彼女によって排除されるのだ。そう、虫のように……
きっと何の躊躇いなく口のみの指示で、簡単にやってのけるのだろう。
コンコンッ!
焦りが窺える速さでノックされたのは薙家のご令嬢、薙 りぃ(ナギリィ)の部屋である。
「りぃ様っ!!旦那様がお呼びです!
……客間へいらっしゃって下さい」
使いで来た、父親の秘書である樹(タツキ)はこれから起こる事に察しがついているため、りぃの顔を直視することが出来なかった。
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