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ゆるりと車が発車する。
「何しに行くんだ?」
「婚姻届を提出しに行くんです。早く出したいじゃないですか……」
頬を少し染めて呟くトキは心なしか喜んでいるようにりぃの目には映った。そうか、と曖昧に返事をしてからふと、気付いた事が一つ。
「……あのさ、なんでトキはあたしなんだ?普通さ、こーんな女……ひかないか?」
自らを卑下するりぃにとって、皆が羨むよう人間が自分を選んだのが謎なのだ。
疑問を投げかけると車は、詰まるような音を立てて急停車した。その弾みで前のめりになった所をトキに支えられ、そのまま向かい合わせにされる。
「俺はね、そのまんまのあなたに惚れたんですよ。」
「……トキってドMなの?」
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