2(バベルの塔は崩れ落ちる)

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「……っ!返せよ!!最後のキス…誰にも触れられたくなんかなかった!!聯……!!」 唇に手を触れてもう、ない温もりに涙を流した。サヨナラの前、絶望の代償として強引に奪った深い口付け。 まだトキも見ぬその聯(レン)と呼ばれる男こそが、りぃが生涯で唯一愛した。聯と別れる時りぃは愛してると、心が軋むくらい、喉が枯れるまで伝えたかった。 でもそれは一生叶わないと男の瞳が語っていた。 「……返してあげましょうか?」 「へ?」 いつもの均等のとれたバリトンの声からは想像も出来ない程の低い声。思わず顔を上げたりぃに待っていたのは、再びのキスだった。 後頭部と両手をしっかりと掴まれ、身動きが取れずそのまま荒らされる口内にりぃは脱力しそうになった。 ……この強引なキスに酔えたなら、聯を忘れる事が出来るだろうか…… 「……あなたは、俺が契約成立と言った瞬間から俺の"モノ"。俺にキスを止める権利はおろか、指図する事さえ赦されない」 ゆっくりと頬を流れるように撫で最後に唇に触れた。トキの掠れた声だけが車内に響いた。 「……例えあなたが望まなくとも、好きにさせてみせます……。狂おしいほどに俺を渇望するように……」  
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