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市役所に書類を提出してからトキがおかしい。りぃは根拠のない漠然とした疑問を抱えながら、トキに引かれるがまま着いていった、
終始無言のままトキはりぃを車に押し込む。
「……トキ?」
「無意識が一番の罪ですよ」
「ぅわっ??!」
助手席に倒れ込むと、車のシート寝かされ、トキが覆い被さる。
視界の中心にはトキ。
「心配なんです」
寂しそうに呟く。それはどこか切羽詰まったようで、それでいて色気のある瞳にりぃは胸が跳ねた。トキは再び口を開く。
「あなたを手に入れたのは俺なのに、りぃはどこかに行ってしまいそうで……」
どうして、あたしなんだ……。行き場のない疑問が頭を縛る。
「……どっこも行かないぞ?だって、あたしには……帰る所がない」
本心から出たその言葉はさっきまで邪険にしていた男が、ぶれることなく自分を嘘偽りのない瞳で愛してると言ったせいだろうか?
「約束ですよ?」
トキは安堵したように微笑み綺麗な小指を差し出す。
「おぅ、女に二言はねぇーよ」
「……破ったら……、お仕置きですからね」
妖しく上がった口角、低く囁かれた言葉に肩をふるわせた。前言撤回はどうやら叶わないらしい。
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