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ハッ、笑わせるなクソ親父。
りぃは心の中で毒づいた。
散々あたしをこけにしといて、結局は餌に出すってか?まだ幼く愛らしい瞳が、幾つもの負の感情を背負い軽蔑にも似た視線を父親である男に向けた。
「出てってやるよクソ親父。あたしなんか居てもアンタをいらいらさせるだけだろ?
正妻を奪った浮気女の娘なんてな!」
あざ笑うかのように、りぃは父親の顔を見下ろしながら吐き捨てた。
そう、りぃの母親は正妻ではない。愛人だったのだ。
遊びで付き合っていた女が、本気になって愛していた男の正妻を殺した。結局りぃの母親自身もすぐ一年後病気で死んだ。
あの時ばかりは、呪いというものの存在を感じ恐怖していたが今では何も思わない。それどころか彼女は死んで当然だ、とも思うようになった。
なぜなら母親は人を殺したから。
人の命を犠牲にした上の幸せなどありはしないのだ。
どこにでも転がっている暇つぶしな話。ほんの出来心が産んだ愛憎劇。
そうりぃは心の中で締めくくった。
「り、りぃっ!貴様ーっ!!!」
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