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その部屋にいた全員は顔を上げ、声を発した者を見つめた。
「アナタたちは何をしているのですか?」
声を発した者――皐月は無表情に、しかし鋭い視線で全員を見据えた。
「亮介が…………何のために戦ったと思っているのです?
アナタたちはその意思に共感したから、彼の決意に惹かれて彼と行動を共にしていたのではないのですか?」
皐月は表情を変えることなく淡々と告げた。
「たしかにそうだ。
………だが、俺とサレナは家族を失った!
悲しんで何が悪い!」
とルシアはただ一人の兄として王の威厳もなく叫んだ。
「私もそれは同じ。いえ、ここにいる人も、滝川先生たちや霊都の街の人々、組織の人々も悲しいはず。
でも貴方は………いえアナタたちは亮介の意思を継いで人々を守らなければならないんじゃないの!」
皐月は怒りを――最愛の人最も近くにいたはずなのに悲しむばかりのルシアに苛立ちを感じていた。
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