chapter#1

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「まったく………礼を言いたいのは俺だって。」 ルシアは皐月が出ていった扉を見つめてため息をついた。 「さて、それではルシア様。 我らグラビデは前霊帝の動向調査と共にレイ様の捜索にでます。」 ダハルはそう告げると、ルシアが何かを言う前にカラナとアハトを連れて出ていった。 「それじゃ俺と美咲、茜も帰るっつ~の!」 劉はそう言い、礼司とルシアだけを残し、立ち去った。 「礼司、話とはなんだ?」 ルシアは薄々気付いていたようで礼司に声をかけた。 「………俺は正しかったのか?」 礼司は俯いたまま静かに、吐き出すように言葉を発した。 「どういう意味だ?」 ルシアは表情を引き締めて礼司を見た。 「俺が………亮介の頼みを聞いたのは正しかったのかよ!?」 「正しかったな。 もしあの時、ガルドとレイが消えた後に冥王の復活、あるいは前霊帝が現れていた場合、俺しか互角に戦えるものはいなかったからな。」 ルシアは瞳を閉じ、淡々と話した。
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