chapter#1

8/8
前へ
/202ページ
次へ
「奴らに対抗できるのは精霊王の力を使える者、つまり俺とレイだけだ。 もし、あの時俺がいなければ前霊帝は現れていたか、もしくは冥王を復活させていただろうからな。」 「だけど!俺が亮介から離れなければ、一緒にいたらアイツを助けられたかもしれないんだ!」 礼司は淡々と話すルシアに向かって怒声をぶつける。 ルシアは礼司の言葉に怒りを感じ、立ち上がると礼司の顔面を殴った。 「自惚れも大概にしろ! お前があそこにいたら止められたとしても、そこにお前は居なかった! その現実を受け止めろ! そして、次にもしそんなときがあれば共に戦える力を手に入れろ! ………レイは死んだわけではない。過去を悔やむより、前を見据え、出来ることをやれ。 あと、神殺しの刃はそっちに預ける。 劉か皐月に使わせろ。」 ルシアは話は終わりだといった感じで部屋を後にした。 ―――ルシアの去った部屋に響くのは礼司の嗚咽だけだった。
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

517人が本棚に入れています
本棚に追加