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真「月笥解除」
紅い月が消えて元の風景に戻る。
真「さて、ではこちらです」
聖「おう。すまんな。世話になるぜ」
真「気にしないで下さい。こちらです」
真宵は先立って歩き、聖を案内する。
やがて一軒の平凡な家の前で止まった。
真「ここです。どうぞ上がって下さい」
聖「家族とかいないのか?」
真「ええ。住んでいるのは私とリオですよ」
聖「リオって誰だ?」
真「あぁ、私の婚約者です」
そう言うと真宵は玄関の扉を開ける。
聖は何か言おうとしたが、玄関の中に立っていた人物を見て息を飲む。
その人物は体の半分を覆い隠す質と量を誇る黒髪の少女で、若干人間離れした容姿だった。
聖「あんたは?・・・」
リ「初めまして、私は『秘密侯爵』リオン・グンタといいます。
気付いているかも知れませんが、魔王です。オーラム・アッシャーにようこそ、ラフトクラウンさん」
聖「何で俺の名前を!?」
リ「あなたが来る事は分かっていました。だって、この書物に書いてある通り」
そしてリオンは両手に抱えている本に視線を落としてから、クスッと笑うと言った。
リ「どうぞ上がって下さい。」
聖「・・・ああ」
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