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この世界には、ありとあらゆる約束が存在します。その内容は様々で、小さな約束から大きな約束。大事な約束から嘘の約束。ええ、とにかくありとあらゆる様々な約束が存在するのが、この世界の特徴であり、私個人的には、この世界が存在するから約束が存在するのではなく、約束が存在するからこの世界が存在しているんじゃないかと思う程です。
「ガチャ!」
ああ、紹介が遅れてしまいましたが、私は小さなお店をやっているんですよ。
「いらっしゃいませ。」
「あのう?」
見るからに何かに困っている若い女性のお客さんです。ええ、長い間この仕事をしていると何かピーンっと来るものがあるんですよ。
「ここは、約束屋さんですか?」
「はい。約束屋です。」
そうそう、私がやってるお店ってのは、約束屋なんですよ。もちろん、取り扱っている商品は、約束です。
「あのう?」
「はい。」
「親友との約束を探しに来たんですけど………。」
「そうでしたか。でしたら、この紙にその約束をした日時と内容をお書き下さい。」
因みに私のお店で取り扱っている約束は、守られなかった約束です。お売りした約束をどう処理するかは、お客さん次第です。
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