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「どーしたの?窓なんか眺めて」
彼女がそうだ。
貸出カウンターまで椅子を引きずり腰掛け、教師に珈琲を催促する女子生徒。
彼女は昼休みと放課後に図書室を訪れてはまずカーテンを開け放っていく。
彼女曰わく、「日にあたらないと腐っちゃう」のだそうだ。
それは本が腐るのか、それとも彼女か私か、と聞くと「図書室が」と返された。
私にはいまいち理解しきれなかったが、とにかく昼休みと放課後に図書室は腐らぬようひなたぼっこさせられている。
「ねー。黄昏てないで珈琲ちょうだーい」
行儀の悪い子供のように彼女がカウンターを叩き始めたので、私はたしなめつつも机の引き出しから紙コップを取り出した。
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